「我慢ができずまた旅行」
2020年、コロナ禍での自粛生活が続く中、一人旅を愛する私の心には、深い空虚感が広がっていた。旅は私にとってただの趣味ではなく、生きがいそのもの。だが、感染拡大の影響で自由に旅することが叶わず、日々の生活は単調に過ぎていった。
そんな中、Go To トラベルキャンペーンが始まり、私は再び旅に出る決意をした。先月、このキャンペーンを利用して宿泊した旅が素晴らしく、旅の喜びを再確認したことで、もう一度この機会を活かそうと考えた。今回選んだ宿は、立川にある「SORANO HOTEL」。広々としたスイートに宿泊し、贅沢な時間を過ごすことにした。
立川駅に降り立つと、思ったよりも人が多く、以前の東京よりは人出が少ないものの、コロナ禍の影響を感じさせないほどの活気があった。マスク姿の人々、至る所に設置された消毒液、ソーシャルディスタンスを保つための案内板。以前とは異なる、新しい旅の風景がそこにはあった。
ホテルに到着し、チェックイン。フロントでは検温が行われ、スタッフは全員マスク着用、対面のやり取りはアクリル板越しに行われた。感染対策が徹底されていることに安心しながら、案内されたスイートルームへ向かう。
「贅沢なスイートルーム」
ドアを開けた瞬間、目の前に広がる開放的な空間。天井が高く、大きな窓からは立川の街並みと緑豊かな昭和記念公園が見渡せる。シンプルながらも洗練されたインテリアが、上質な時間を予感させる。
このスイートルーム「SORANO SUITE」は、1ベッドルームタイプのスイートで、中央にベッドルーム、左右にリビングルームとバスルームが配置されている。どの空間もテラスに面し、ベッドルームからもテラス越しに昭和記念公園の豊かな緑を眺めることができる。リビングとベッドルームを仕切るスライディングドアは、開放感とプライベート空間を自由に演出できる設計だ。
特にベッドルームにはこだわりが詰まっている。ベッドの品質はもちろん、その寝具には世界でも希少価値の高い最高級の羽毛布団「アイスランド産アイダーダウン」が使用されている。まさに「キング・オブ・ダウン」と称されるその肌触りは別格で、包み込まれるような心地よさ。ふかふかのベッドに身を委ねると、思わず深いため息が漏れるほどの幸福感に包まれた。
ソファに腰を下ろすと、自然と肩の力が抜けていく。旅に出ることができた喜びと、心地よい静けさに包まれながら、窓の外の景色をしばし楽しんだ。
スパトリートメントの癒し
今回の旅の楽しみの一つが、スパトリートメント。「SORANO HOTEL」では、熟練のセラピストが客室まで訪れ、専用の施術台で施術を行ってくれる。私は60分の「ビューティー&リラックス」コースを予約していた。
セラピストが到着し、落ち着いた音楽が流れる中で施術が始まる。ゆったりとした手技が心と体をほぐし、アロマの香りが部屋に広がる。指先が疲れた筋肉をじんわりとほぐしていくたびに、緊張が解け、まるで日常のストレスが溶けていくようだった。
特に肩と首のコリが酷かったが、的確な圧で丁寧にほぐされると、血流が巡り、体全体が軽くなっていくのを感じた。心地よい施術が終わる頃には、深いリラックスに包まれ、ベッドの上でしばらく余韻を楽しんだ。
さらに、調子に乗ってフェイシャルマッサージもお願いすることにした。外的環境や生活環境、加齢による肌環境の変化に対応し、深層部まで水分を行き届かせるこの施術。セラピストの指先が顔を優しく包み込むたびに、肌がしっとりと潤い、まるで内側からふっくらと持ち上がるような感覚に包まれる。心地よいタッチと滑らかなオイルの感触に、思わず目を閉じてしまう。施術が終わるころには、顔のこわばりがほぐれ、鏡に映る自分の肌が少し明るくなったように感じた。
「ディナーのひととき」
スパの後は、ディナータイム。今回のメインは「あきる野 ‶キッコーゴ醬油”で漬けた下田さん家の豚のスペアリブ」。醤油のコクと旨味がしっかり染み込んだスペアリブは、口に入れた瞬間にほろりと崩れる柔らかさ。香ばしく焼き上げられた肉の風味が、口いっぱいに広がる。しっかりとした味付けながらも、決して重すぎることはなく、絶妙なバランスで仕上げられていた。
さらに、旬魚のアクアパッツァや備長炭で炙った鰆、帆立、紋甲イカの盛り込みも並ぶ。アクアパッツァは、じっくりと煮込まれた魚の旨味がスープに溶け込み、一口含めば芳醇な海の風味が広がる。オリーブオイルとトマトの酸味が絶妙に絡み合い、パンを浸して味わうとまた格別の美味しさ。備長炭で炙られた魚介類は、表面が軽く焦げることで香ばしさが際立ち、身はふっくらとジューシーに仕上がっている。噛めば噛むほど旨味が口の中に広がり、余韻を長く楽しめる。
料理を味わいながら、贅沢な空間で過ごす時間に、ただただ満たされていくのを感じた。
「夜明けのチェックアウト」
スパトリートメントの後は、夜の静寂の中でこの旅を振り返った。コロナ禍での旅は、以前のような気軽さはないものの、感染対策をしながら楽しむ新たな旅の形を知る機会となった。
マスクをつけ、こまめに手を消毒し、距離を保つ。それでも旅に出られることへの感謝は大きく、久しぶりに感じた解放感は何にも代えがたいものだった。
Go To トラベルキャンペーンを利用し、贅沢な空間で心と体を癒したこの旅。旅の形は変わっても、やはり私は旅が好きだと、改めて実感する時間となった。そして、また次の旅を計画しようと、心の中でそっと誓った。